ブログ一覧


現場の闇について

建築の言葉として、工事カンリという言葉が使われます。

 

工事カンリには2つあるってご存じでしょうか?

 

一般の方には分かりにくいところかと思いますが、新築を購入する人にとって知っておきたい区別です。

 

口頭で工事カンリというと「工事管理」と「工事監理」のどちらを指しているか分からないので建築業界では、

「工事管理」は「竹カン」

「工事監理」は「皿カン」

と言って区別することがあります。

 

では、工事管理と工事監理はどう違うのでしょう?

 

工事管理は、現場監督さんが行う業務です。

現場監督さんは、工事の工程を考えて段取りをして、職人を手配したり、材料を手配したり、職人に指示をしたりします。

住宅の現場監督さんはいくつも現場を持っているので、多い時は同時に何十棟も現場をみます。

本来、現場監督さんは、毎日現場へ行くようですが、何十棟も抱えていたら2~3日に一度現場へ行く感じでしょう。

 

 

もう一つは、「皿カン」の工事監理です。

こちらは現場監督さんのことではありません。

工事監理とは、建築確認図面(設計図)の通りに施工がされているか監理する人です。

工事監理者は、設計のことを良く知っている設計者が行うことが望ましいですが、設計のことも分からない名ばかり工事監理者が多くいます。

 

工事監理者は建築確認申請書に名前や資格が記載される責任のある業務です。

ちなみに、上記の現場監督さんは建築確認申請書に名前は記載されません。

 

一般の方だと現場監督さんというと一番責任ある立場の人と思うかもしれませんが、図面通りに現場ができているかという意味においては工事監理者の方が責任あります。

 

 

一般的には、工事監理者は毎日現場に来ることなく、工事工程の節目にチェックをする立場にあります。

しかし、大きな会社になるほど、この工事監理者はほとんど現場に来ません。

下手をすると、工事監理者は一度も現場は来ないですべて現場監督さんに任せている会社もあります。

 

また、現場監督さんは資格を持たなくてもなれるので、最近では20代の資格も持たない若い人がなっていることもあります。

現場監督さんは、現場の手配で忙しく、設計のポイントなど知らないことが多く、職人任せになっていることもあります。何十件も掛け持ちしていたらなおさらです。

 

 

当社は、建築中の検査を行うこともありますが、工事監理者も現場監督さんも図面をしっかり見てチェックしていないことがあります。

本来、工事監理者がチェックしなくてはいけないことを当社が指摘することもあります。

本当にこれは問題だと思います。

 

 

こんな体制だから、欠陥住宅が減らないのでしょう。

 

まずは、工事監理者がほとんど現場へ来ないことを何とかした方がいい。

 

こんな杜撰な工事監理だから、建築中においては第三者の建築士に観てもらった方が良いのです。

 

建築している時に、工事監理者は現場にどのくらい来ますか?

と聞いてみてください。

おそらく、建売住宅の場合や大手ハウスメーカーは、ほとんど現場には来ないで現場監督さん任せかと思います。

 

日本の建築業界は、建築確認における机上の審査は厳しいと思いますが、一旦建築確認を取得してしまえば、後は現場任せというような風潮です。

当社が建築中の検査をして、不備を見つけて、現場責任者に質疑をすると答えることができずに現場が一時中断したこともあります。

 

机上の審査と同じように現場検査も厳しくしないと、法律や図面だけが一人歩きして現場が追い付いていない状態です。

 

法律は頭がいい人が細かいことを決めて作っているけど、現場の人まで浸透しておらず知識も技術も追い付いていないこともあります。

 

もし現場で設計図と違うところがあれば工事監理者が承認していることなのか問いただしましょう。

 

あと、建物には構造設計者という人がいます。

この構造設計者も現場にはほとんど来ないのです。

何か問題があった時に来る程度です。

構造設計者が図面に描いたことが現場に反映されていないこともあります。

構造設計者は、いつもと違う部分については図面に特記していたりするのですが、現場は今まで通りのやり方に慣れすぎて対応できないんです。

構造設計者がこの建物はここが今までと違うから注意してください。と伝えていれば現場も対応するのでしょうが、構造設計者は、図面に描いたということで責任は果たしたと思っている印象です。

でも現場の人はそこまで目を皿にして図面を見てないのが現状です。

 

また、建設業界は設計と現場が分かれているのが問題だと思います。

問題になっていなかったとしても構造設計者の意図とは違うものが造られていることも多いです。

今まで施工したことのあるサイズ感だったり、今までとほとんど同じ家ならばそういったことは少ないかもしれませんが、少し特殊であったり、少し変わった形をした家であったりすると注意が必要です。

要は、少しでも変わったことをすることは苦手なのです。

もちろん、そうでない現場監督さんもいるでしょうが数少ない印象です。

次の記事へ

»
プライバシーポリシー  /  特定商取引法に基づく表記      Copyright © 2025 株式会社 グラッドスタジオ All rights Reserved.